home                孤独な胡弓弾き             next

   かつて定宿にしていたプラトゥーナムの小さなホテル。さして高級でもないくせに、ここには何故か胡弓弾きがいるのだ。「バンコクに出てきた時には仲間も何人かいたんだけど、俺一人だけ残っちまった」そう語る彼は、夕暮れになると庭にゴザを敷いて誰もいない客席に向かって懐かしいメロディーを奏ではじめる。昼間はただ植木鉢にささやかに水を注ぐくらいしか仕事のない彼の、晴れ舞台だ。