まだ年若い象が一匹、そんな家族連れに愛想をふりまいて餌をねだっていた。街一番の繁華街エラワン界隈。さして珍しい光景ではない。チーク材の伐採が規制されて職を失った象が出稼ぎに来るのは、この街の名物だ。20バーツの餌をやりながら象に話しかける。
   ……どこから来たんだ? おまえは。排気ガスと偽物の星屑しかないこの街で、おまえもまた幸せなのか?
   餌に夢中な象は答えてはくれない。
   

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