| むかしコダックにレコーディング・フィルムというのがあった。もとは軍事用、監視用で、感度だけはむやみに高いが、トライXに慣れた身で使うとひどい目に合うという厄介な癖を持つフィルムだ。コントラストのつき方が違うし、それより何より分光特性がまったく違う。近赤外まで伸びているので、タングステン照明下でのヌード撮影ともなると独特のニュアンスを醸しだしてくれる。だからって内臓まで透けて見えるわけじゃないが。 現像はD76ではどうにも歯が立たず、DK50。実用的な感度はISO4000以上。粒子はザラつくがとにかくシャープに写るという、いかにもコダックらしいフィルムだったが、やっと現像データを作りあげた頃には製造中止になってしまっていた。世の中なんざ、そんなもんだ。それにしてもフィルムだけは寿命が長いものであって欲しい。特に自分で現像データを作らなければならないモノクロは。 |